こんにちは、最近こんなニュースをよく目にします。
RCEP、15カ国首脳が署名へ アジア貿易の転換点に
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66249450V11C20A1I00000/
多分多国間における自由貿易枠組みなんだろうけど、なぜ大々的なニュースになっているのかよくわからなかったので調べてみることにしました。
RCEPとは
RCEP(アールセップ:Regional Comprehensive Economic Partnership:東アジア地域包括的経済連携)
ASEAN(東南アジア諸国連合)を中心にした国家群(インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、ベトナム、ミヤンマー、ラオス、カンボジアに日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドの16カ国)が参加する広域的な自由貿易協定のことです。
この枠組みが実現すると人口34億人、世界全体のGDPの約3割となる20兆ドル、世界全体の貿易総額の約3割に当たる10兆ドルを占める広域経済圏となるため、別名メガFTAとも呼ばれています。
ただし、インドは関税引き下げによる貿易赤字の拡大を懸念し、2019年秋に交渉を事実上離脱しました。日本はインドを含めた16カ国による署名を求めてきましたが、インドが交渉に復帰しなかったため最終的に15カ国による発足となりました。
RCEPの8つの大原則・領域
RCEPには8つの大原則と交渉領域が設定されています。
8つの大原則
- WTO協定との整合性の確保
- 既存のASEAN +FTAの締結からの大幅な改善
- 貿易投資における透明性の実現と円滑化の確保
- 参加途上国への配慮
- 参加国間の既存の二国間FTAの存続
- 新規参加条項の導入
- 参加途上国への技術支援、能力構築の実現
- モノ・サービス貿易、投資および他の分野の交渉
8つの交渉領域
- モノの貿易
- サービス貿易
- 投資
- 経済技術協力
- 知的財産権
- 競争
- 紛争処理
- その他
なぜ注目されているのか
前述の通り規模が大きいことももちろんですが、RCEPは日本にとって中韓両国と結ぶ初のFTAとなるので連日報道されていました。
中国に輸出する工業品は将来的に86%の品目で関税を撤廃することになり、日本経済の大黒柱である自動車業界の部品は約9割が対象となります。
同様に韓国への輸出も工業品の関税撤廃率が最終的に92%となる見込みです。
日本の国別貿易額で1位の中国(約33兆円)と3位の韓国(約8兆円)を含む効果は大きく、ルール分野でも中国が参加する協定で初めて投資に際し企業へ技術移転を要求することを禁じる項目が盛り込まれています。
今後
21世紀はアジアの世紀と呼ばれることもあります。
既に中国は世界的にも大きな影響力を持った大国となっていますし、これからはインドも伸びてくるからです。
欧米を抜きにした経済圏が発達すると世界情勢は大幅に変わってきそうですね。
政治が絡むと厄介なことになりますが、変な縛り無く皆が好きなことをやって生活できる未来となることを願うばかりです。