前回のセグメンテーション編の続きでターゲティング編です。
ターゲティングとは
ターゲティングとは、セグメンテーションした顧客グループから自社の製品を購入してもらえるグループを絞り込むことです。
セグメンテーションは、あくまでターゲットを選定する(あるいは、ターゲットでない顧客をを明確にする)ためにおこないます。つまり、ターゲットを明確に定めずに、セグメンテーションだけを行っても戦略実行につながりません。
自社の製品に最もニーズがマッチしている顧客グループを見つけ、そこにリソースを集中投資していくことで、成功の確率を高めることができます。
基本は自社の製品を最も魅力的だと評価してくれる顧客は誰か?という視点で、更に市場視点(市場規模や成長性)、競合視点(競合の脅威)、自社視点(強みの活用)といった視点も合わせてターゲットを絞り込みます。
ターゲティングの種類
無差別型ターゲティング
セグメンテーションで見えた市場を無視して、同じ商品をすべての市場に提供するターゲティング手法です。
例えば、ボールペンを販売する際、大学生や会社員など、セグメンテーションで見えてくる市場はいくつかあります。しかし、非常に幅広い層が使うため、それぞれに対し特別なプロモーションを行うのではなく、一括してメッセージを届けたほうが効率的かもしれません。
食料品や日用品などに多いターゲティング戦略です。
差別型ターゲティング
複数の市場に対し、それぞれに最適化された商品・サービスを提供する方法です。
例えば、ネットフリックスにはベーシック、スタンダード、プレミアムの3つのプランが用意されています。これは、家族構成や画質へのこだわりなど、ユーザーのニーズによって最適なプランを用意している例です。
集中型ターゲティング
セグメンテーションで見えてきた市場のうち、最も魅力的な1つの市場に注目する戦略です。高級商品やベンチャー企業によくみられるターゲティング戦略です。
数千万円以上もする高級自動車メーカーであるランボルギーニは、富裕層の一点に絞ってプロモーションを行っています。その一点でのブランド力を保つため、安価な製造ラインを持つこともありません。
ターゲティングで有効な6R
- Realistic Scale:市場規模
市場の規模が小さすぎたら意味がないので、選択する市場の規模は事業が成り立つのに十分なだけの大きさであることが必要です。
- Rate of Growth:成長見込
選択する市場はただ大きければ良いというわけではありませんし、衰退していくことが明らかな場合は避けなくてはいけません。
そのため選択する市場は成長が見込めるか必要があります。
分析を行った時点では規模が小さな市場でも、その後成長していけば先行者利益を得ることも可能です。
- Rank/Ripple Effect:顧客優先順位・波及効果
自社商品・サービスの優先度や関心が顧客にとって高いことも重要です。
優先度が高いものならSNSシェアなど、波及効果が期待できます。
- Reach:顧客への到達可能性
ターゲティングによって選択する顧客は、ビジネスを行う際に実際に到達できるものでなくてはなりません。
- Rival:競合
競合他社が市場独占している、もしくは数社による寡占状態の市場の魅力は低いです。
ただ完全競争に近いような市場でもリーダーがいない場合は、差別化によってパイを獲得できる可能性もあります。
- Response:反応測定可能性
広告などのアプローチの反応や効果が測定できるのかについても、ターゲティングを行うに当たっては念頭に置かなくてはなりません。