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【経営理論】モチベーションの理論【理解と実践】

世界標準の経営理論(著:入山 章栄 早稲田大学大学院・ビジネススクール教授)の理解を深めるために、内容のまとめをアウトプットしていきます。

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今日はモチベーションの理論についてまとめます。

モチベーションとは何か

モチベーションの定義

モチベーションとは「人を特定の行動に向かわせ、そこに熱意を持たせ、持続させる」もの
人の行動に影響を与え、以下の3つの要素にわかれる
・行動の方向性
・行動の程度(活力・規模)
・行動の持続性

モチベーションの種類

・外発的動機(extrinsic motivation)
報酬・昇進など、「外部」から与えられる影響で高まるモチベーションのこと

・内発的動機(intrinsic motivation)
純粋に「楽しみたい」「やりたい」といった、内面から湧き上がるモチベーションのこと

外発的動機よりも内発的動機の方が、個人の行動へのコミットメントや持続性を高めることなどは、ほぼ学者のコンセンサスとなっている。

モチベーションの6つの理論

理論1:ニーズ理論(needs theory)[1940年代〜]

1940年代に打ち立てられた有名な「アブラハム・マズローの欲求五段階説」もニーズ理論のひとつ

この説は「人の根源欲求は低いものから順に生理的欲求→安全欲求→社会的欲求→尊厳欲求→自己実現欲求と、ピラミッドのように段階化しており、人は下の階層の欲求が満たされると、さらに高次の欲求を求めるようになる」というもの。

ただし、マズローの欲求五段階説はほぼ科学的に当てはまらないと現代の心理学の研究で結論付けている。

理論2:職務特性理論(job characteristics theory)[1970年代〜]

職務特性理論で重視されるのは内発的動機であり、内発的動機を高める職務特性は以下の5つ
①多様性(variety):職務の遂行において、従事者の多様な能力を必要とすること
②アイデンティティ(identity):従事者が最初から最後まで職務に携われること
③有用性(significance):職務が、他者の生活・人生などに影響を与えること
④自律性(autonomy):従事者が自律性を持って仕事できること
⑤フィードバック(feedback):従事者が職務の成果をきちんと認識できること

大企業から飛び出すとモチベーションが高まる理由

大企業からスタートアップに移ると飛躍的にモチベーションを高めるビジネスパーソンが多い理由もこの理論で説明可能だ。

大企業では自分の携わった製品がどう使われてるか、どのような意見をもたれるのかがわかりにくい。
上述の五代特性のうち「アイデンティティ」「フィードバック」が弱いのである。
顧客の声が聞けなければその製品が社会にどのような影響を与えてるのかわかりにくい(=有用性が弱い)。さらに大企業では社員の役割が制限されるのでできることも少ない(=多様性が弱い)。ルールで雁字搦めのため自律性も制限される。

その点、スタートアップだと状況は全て逆転する。大企業からスタートアップに移るとモチベーションが高まることは自然なのだ。

理論3:期待理論(expectancy-valence theory)[1960年代〜]

期待理論の基礎:人は合理的に意思決定をする一方で、その意思決定・行動はその人の認知に規定される

期待理論は、報酬制度と動機の関係を説明するのに適した理論だ。

ここで重要な点は、モチベーションは仕事の「成果」と「見返り」がわかれることだ。期待したパフォーマンスを実現しても、それが十分な見返りに結びつくとは限らないからだ。

さらにこの理論では「人の動機は、その人が事前に認知・予測する『期待』『誘意性』『手段性』の3つに影響を受ける」と考える。

理論4:ゴール設定理論(goal setting theory)[1960年代〜]

特徴:『ゴール・目標の設定』をモチベーションの基礎として加えた
仮定:人は、自身の目的を実現するために働く意思を持つ

本理論が広く支持される理由は、このゴール設定を軸に2つの命題を提示したことにある。

・命題1-人はより具体的で、より困難・チャレンジングなゴールを設定するほど、モチベーションを高める。
ゴール設定理論の仮定は内発的動機に近い。目的は具体的であるほど、何をすれば良いかが明確になり、行動へのモチベーションにつながりやすくなる。

・命題2-人は、達成した成果について明確なフィードバックがあるとき、よりモチベーションを高める。
人は、成果に対してフィードバックを受けることで、自分の成果を正確に認知し、満足度を高め、より高いゴールを設定する。
フィードバックがなければ次のアクション、目標をどのようにすべきかわからない。

つまり「具体的・チャレンジングな目標設定→パフォーマンス」と、「パフォーマンスのフィードバック→さらなる目標設定」というダイナミックな好循環サイクルが出現すると、人はモチベーションをどんどん高め、パフォーマンスも高まっていくというのが、ゴール設定理論の命題

星野リゾートのモチベーションの高め方

ゴール設定理論の貢献のひとつは「モチベーションは、具体的でチャレンジングな目標設定と恒常的なフィードバックで、人為的に高められる」点を示したことだ。

星野リゾートはフィードバックを重視する。
例えば「ミス撲滅委員会」という現場でのミスについてのフィードバック機能を持つ組織を立ち上げ、以下の3つのルールを設定した。
①ミスを報告する人は、「実際にミスをした人」「他の人がしたミスについて知っている人」のどちらでも良い
②ミスをした人を絶対に叱らない
③ミスを報告してくれたことについてしっかり褒める

ミスについての正確なフィードバックが多く出るような仕掛けを作っていったのだ。

理論5:社会認知理論(Social Cognitive Theory)[1960年代・1970年代〜]

社会認知理論のモチベーションのメカニズムはゴール設定理論の発展系ととらえられる。
ゴール設定理論と異なるのは「自己効力感」という概念が組み込まれること。

自己効力感(self-efficacy)

自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できるかに対する認知

自身の能力への自信と言っても良い

社会認知理論では、その目標の高さに影響を与えるのが、自己効力感である。

そしてその自己効力感が影響を受けるのは以下の4つだ。
①過去の自分の行動成果の認知(mastery of experience):先のフィードバックのこと
②代理経験(vicarious experience):他者の行動・結果を観察することで、自身の自己効力感が変化することを指す。似た者同士を競わせれば、誰かが成功すると、代理経験効果を通じて周囲の自己効力感・モチベーションも上がる。
③社会的説得(social persuasion):「君ならできる」というようなポジティブな言葉を、周囲が投げかけることだ。
④生理的状態(physiological factors):人は精神・生理的不安に陥ると「自分ではこの責務は果たせない」という心理につながりがち。

理論6:プロソーシャル・モチベーション(prosocial motivation)[2000年代〜]

プロソーシャル・モチベーション(PSM):他者視点のモチベーションのこと

PSMが高い人は他人に貢献することにもモチベーションを見出す。特に注目するのは、PSMと内発的動機の補完効果だ。

PSMと内発的動機が高い人ほど、行動の持続性が高く、パフォーマンスや生産性も高いという研究結果が出ている。

またPSMと内発的動機の補完効果が、個人の創造性(クリエイティビティ)を高める可能性にも注目されている。

クリエイティビティ

「新奇性(novelty)」「有用性(usefulness)」の2つの要素から構成される。
クリエイティブなものは当然、新しくなくてはならないし、それが使う人に役立たなければ価値がないからだ。

リクルートが徹底する、内発的動機×PSM

リクルートには内発的動機とPSMを代表する企業文化がある。

1.「あなたはどうしたいの?」文化

リクルートでは社員が新しい取り組み・チャレンジをする時に、その根本である「自分は何をしたいのか」を突き詰める文化がある。これは内発的動機の啓蒙となる。

2.「顧客とのイタコ化」文化

これは徹底的に顧客視点に「乗り移る」こと。それによって顧客の様々なネガティブ要素を突き止め、解消することを考える。これはPSMとなる。

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