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【経営理論】リーダーシップの理論②【理解と実践】

世界標準の経営理論(著:入山 章栄 早稲田大学大学院・ビジネススクール教授)の理解を深めるために、内容のまとめをアウトプットしていきます。

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今日は最新のリーダーシップ理論についてまとめます。

シェアード・リーダーシップ(Shared Leadership:SL)[2000年代〜]

シェアード・リーダーシップ

シェアード・リーダーシップは「グループの複数の人間、時には全員がリーダーシップを執る」と考える。

「リーダー」→「フォロワー」という垂直的な関係ではなく、それぞれのメンバーが時にリーダーのように振る舞って他のメンバーに影響を与え合う「水平関係」のリーダーシップである。

研究者はこのSLが特に「知的ビジネス産業」において極めて重要と考えている。
なぜなら当該産業は新しい知を生み出すことが極めて重要であり、新しい知は「既存の知と既存の知の新しい組み合わせ」から生まれるので、組織内のメンバーの知の交換が何よりも重要となるからだ。

もし組織のリーダーシップ関係が従来のような垂直的なものであれば、フォロワーはその組織を「自分のもの」と思うアイデンティティを持ちにくい。
しかしもしその組織にSLがあるならメンバー全員が「この組織は自分のものである」というアイデンティティを持ちやすくなる。
その結果、知の交換が積極的に行われるようになるのだ。

アメリカのある自動車メーカーでリーダーシップと組織の成果について以下のような実験を行ったが、そこで「従来型の垂直的なリーダーシップ」よりも「シェアード・リーダーシップ」の方がチーム成果を高めるという結果が出ている。

実験概要

目的:社内改革のための知恵を出し合う
参加チーム:社内横断的な71の変革チーム
チーム構成:様々な部署からの寄せ集め
計測方法:各チームのリーダーシップが垂直型かSL型か計測し、6ヶ月後に各チームのパフォーマンスを計測

結果:経営陣・顧客評価の両者において垂直型よりもSL型の方がパフォーマンスが高くなった

この実験の他にもSLについて多くの研究がなされており、一般的な傾向として次の2点が明らかになっている。

1.垂直的なリーダーシップよりもSLの方がチーム成果を高めやすい
2.特に複雑なタスクを遂行するチームにおいてこの傾向が強い

この点については感覚として理解できる。なぜなら「言われたことをこなすだけ」「やり方が決まっている作業(ライン作業・コーディング作業)」は、ある程度「正解・正攻法」がわかっているからだ。
その点、複雑なタスクは正解・正攻法がない。各自の意見を交わしながら「それらしきもの」を見つけるしかないので、意見交換が活発なSLモデルのチームの方が成果を挙げやすいだろう。

ただ個人的な意見として、議論を締める・意見をまとめる「リーダー」も必要だと考える。
なぜなら複雑なタスクにおいて「絶対正解」の選択肢は無いため、各選択肢のメリット・デメリットを考慮した上で、最終的には決断を下さないといけないからだ。
議論が激しくなればなるほど決めるのが誰も自分の意見を折りたくなくなるので、そんな時でも「決められる」リーダーは必要だ。
従ってシェアード・リーダーシップとTFLの組み合わせが最強なのでは無いだろうか。
各自がリーダーの自覚を持ちながらも、最終的にはカリスマの決定に従う。そんな組織を作りたい。

なぜマッキンゼー卒業生が大活躍するのか

話が逸れてしまったが、本章のまとめに戻す。

マッキンゼー・アンド・カンパニーはSLを体現する企業として有名である。例えばマッキンゼー日本支社の採用担当を長らく務めた伊賀氏が同社のリーダーシップについて語った内容が本書紹介されている。

マッキンゼーのOJTによるリーダーシップの訓練方法は(中略)「リーダーシップは今すぐ発揮してください。できない部分については、次回からどう改善すれば良いか学びましょう」というやり方なのです

また、マッキンゼーでは誰もが、必要とあらばいつでもリーダーシップをとり始めます。そこには上司も部下も、パートナーもマネジャーもありません。

同社は入社1年目でもプロジェクトにおいてリーダーシップの発揮が期待される。その結果、役職・年次を超えて皆が知恵を出し合い、様々な成果を挙げてきたというのが伊賀氏の主張である。

まさにSLそのものであり、これがメンバー全員にリーダーシップの素養を与え、同社を卒業した人が日本中でリーダーシップを発揮していると入山氏は捉えている。

あなたのリーダーシップに「ビジョン」はあるか

SLの研究者は各チームのメンバーが執るべきリーダーシップの中身についても分析を行った。

その結果、SLが浸透したグループの中でも特にパフォーマンスが高くなるのは、各メンバー(=リーダー)がTFLを執った時と明らかになっている。

これは「現在のリーダーシップにおいて最強のパターンは、SL×TFLの掛け合わせ」である可能性を示唆する。

チームのメンバー全員がビジョンを持って、全員がリーダーシップを執りながら、互いに啓蒙し合い、知識・意見を交換する姿である。

リーダーシップ理論の感想

現代における最強の組織パターンにおいて私の考えと入山氏の考えがほぼ合致していたことは嬉しい。
ただビジョンとリーダーの考えには若干の異なりがある。

私は「共通のビジョンをチーム全員が持ち、各自がリーダーとしての自覚を持ちながらも最終決定を下すリーダーについていく組織」が最強だと考えている。
その点、入山氏は上述の通り「チームのメンバー全員がビジョンを持って、全員がリーダーシップを執る組織」が最強と考えているようだ。

これでは意見をまとめられず、結果として成果が出にくいのではないかと思う。いつか入山氏とお会いさせて頂くことができたらこの点についてお伺いしたものだ。

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