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【経営理論】知の探索・知の深化の理論②【理解と実践】

世界標準の経営理論(著:入山 章栄 早稲田大学大学院・ビジネススクール教授)の理解を深めるために、内容のまとめをアウトプットしていきます。

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今日は知の探索・知の深化の理論②についてまとめます。

両利きの経営を進めるには

戦略レベル・組織レベルの2点に分けることができる。

戦略レベル

オープンイノベーション戦略

企業が他社やスタートアップ企業と連携して、新しい知を生み出す試みの総称

中でも事業会社がCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)投資をすると、その後のイノベーション成果にプラスという研究結果が得られている。
つまりCVC投資をするほど事後的なイノベーション成果が高まりやすい傾向があると明らかにしている

  • 欧米型(従来型)

外部に知を求めるための知の探索
大手事業会社が潜在的な技術・事業機会を探すために、スタートアップ企業に出資して連携する

  • 日本型

内部の知を活かすための知の探索
大企業内部の人材・技術者を一度社外へ出して、「彼らに直接知の探索をさせる」

日本型オープンイノベーション戦略(知の探索)の例
・WiL
ソニーとQrioという合弁会社を作り、そこにソニーの若手エンジニアを移籍させ、様々なスタートアップとつなぎ合わせることで知の探索を加速
他にも経産省と「始動プログラム」を進め、大企業の若手を中心にシリコンバレーへ送り込み、彼らに知の探索を促している。

・ローンディール
日本の大企業の若手タレントを国内のスタートアップ企業にレンタル移籍させる仕掛けを作っている

・クロスフィールズ
大企業の若手人材をタイやインドネシアなどの新興市場に送って社会問題を解決させるプログラムを行っている

組織レベル

代表的な施策は組織を「知の探索部門」と「知の深化部門」に分ける「構造的な両利き(structural ambidexterity)」を行うこと。

構造的な両利きを目指すための重要ポイント2点
①独立性
新しい部署に必要な機能(例えば開発・生産・営業など)を全て持たせて、独立性を保たせること

②トップレベルの情報共有
トップレベル(例えば担当役員レベルなど)では、その新規部署が既存の部署から孤立しないように、両者が互いに知見や資源を活用し合えるよう交流を促すこと

構造的な両利きの成功例:アメリカ大手新聞USA Today
新規部門インターネット上のニュース配信サービスを立ち上げ、アメリカ新聞社のオンラインメディアで最も成功したと評価されている。

立ち上げ時の時代背景
年代:1990年代
アメリカ新聞市場:様々な新聞・雑誌が乱立。完全競争に近い状況で利益率は低下。
マクロ的な流れ:インターネット急成長。各社インターネットを利用したサービスを始めるもうまく行っている会社はない。

USA Todayの動き
1.新たにインタネット状のニュース配信サービス立ち上げ
2.成果が出ないと見なされ、予算が回ってこなくなる
3.当時の社長はインターネット・ニュース配信事業を既存の新聞事業から切り離し、人材・事業方針・ビルのフロアを独立させた。さらに評価軸も既存事業と別にした。
4.新規事業の担当役員は社長と意見の近い人物を登用し、当該役員とは頻繁に情報共有を行った
5.事業が成長し、アメリカ新聞社のオンラインメディアで最も成功したと言われるまでになった

新規事業部を設立する際は評価軸の見直しが特に重要
多くの企業で評価は成功・失敗の紋切り型で判断される。しかし新事業は失敗の連続であるため、既存の評価を当てはめると失敗を恐れて知の探索をやらなくなってしまう。
そのため新規事業部では評価制度を見直す必要がある。

何事にも興味を持つ人はパフォーマンスが高い

組織レベルの知の探索で重要なのは、人材の多様化(ダイバーシティ)であることは間違いない
ただ多くの日本企業幹部は「ダイバーシティは知の探索を促すので、イノベーションに繋がりうる」ことを理解しておらず、なんとなく推進しているだけだ。
結果、属性だけに頼ったダイバーシティを推進し、イノベーションにつなげることができていない。

一方、ダイバーシティは複数人で形成されるとは異なる視点がある。
それはイントラパーソナル・ダイバーシティ(intrapersonal diversity)だ。
一人の人間が多様な、幅広い知見や経験を持っているのなら、個人の中で知と知の新結合が生まれて、新しい知を想像できるというもの。
個人レベルの知の探索である。

研究の結果「イントラパーソナル・ダイバーシティが高い人は様々な側面でパフォーマンスが高い」ということもわかっている。

実際に日経ウーマン・オブ・ザ・イヤーに選出されている方の多くは「全く異なる業界の間を移籍した経験」があり、イントラパーソナル・ダイバーシティが高い。

組織構造としてダイバーシティを進められなくても、戦略レベルの日本型知の探索を行うことで個人ダイバーシティを高めることができれば、イノベーションを創造する事ができるかもしれない。

知の探索の幅

前提としてイノベーションには2種類ある

①極めて技術的なブレークスルーなアイディア
②経済的な価値を生み出すアイディア

両者とも重要だが、ビジネスの面では②がゴールとなる。
研究の結果、「前者を生み出すのはやや狭い範囲の知の探索」で「後者を生み出すのは広い範囲の知の探索」とわかっている

従って可能な限り、広く、遠くまで、知の探索を行う必要がある。

知の探索はどのように行えば良いのか

WiL創業者の伊佐山氏は社会人学生から「変化を起こすには、まず何をすれば良いか」という質問を受け、「まずは今日、あなたが帰るときに降りる駅を1つ変えましょう」と答えた。

知の探索は毎日できる程度の小さな仕掛けを作る事で継続することが大切である。
まずは小さな範囲の探索から始めて徐々に広げることが重要だ。

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