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【経営理論】世界標準の経営理論-SCP理論vsRBV(リソース・ベースド・ビュー)【理解と実践】

世界標準の経営理論(著:入山 章栄 早稲田大学大学院・ビジネススクール教授)の理解を深めるために、内容のまとめをアウトプットしていきます。

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今日はSCP対RBVについてまとめます。

SCPとRBVのどちらが大事なのか

今までまとめてきた通り、企業が持続的な競争力を持つためには「自社のポジションをいかに完全競争の環境から遠ざけるか」が重要となる。

その点においてSCPはアウトプットの重要性(製品・サービス市場でのポジショニングや業界構造)、RBVはリソースの重要性(製品・サービスを生み出すための経営資源)に注目している。

そのためSCP・RBVは表裏のような関係となっているのである。

SCP・RBVのどちらが重要かという問いは以前から議論されているが、「どちらも重要」であり「競争の型が異なる」ことでコンセンサスが取れている。

SCP・RBVはどちらも重要

非常にシンプルだが、結局はこうなる。

なぜなら企業の戦略にとってアウトプット(顧客と接する表側の製品・サービスの戦略)もリソース(人材・技術・ブランドなど裏側の経営資源充実)も重要だからだ。

ただ、どちらの方に重きを置くべきかは次に説明する「競争の型」によって異なってくる。

競争の型次第でSCP・RBVの重要性は異なる

まず前提となる競争の型だが、バーニーが1986年の論文”Types of Competition and the Theory of Strategy”で「競争には3種類の型がある」と述べている。

  • IO型の競争(IO competition)

これは経済学の産業組織論(industrial organization)に基づく競争の概念であり、産業・競争環境の構造要因が競争に影響を及ぼす状況を指す。

IO型の競争では競争環境が完全競争から乖離するほど、その企業の収益性が高まる。

従って有効な戦略はSCP戦略そのものとなる。具体的には環境の構造そのものを変えることであり、参入障壁を築いたり差別化で企業グループ間の障壁を高めたりすることだ。

SCPはIO型の競争環境にフィットする。

IO型の競争例:アメリカシリアル業界やコーラ業界(新規企業の参入障壁を引き上げて寡占状態を保ってきた)

  • チェンバレン型の競争(chamberlainian competition)

エドワード・チェンバレンが提示した独占的競争(monopolistic competition)モデルに基づいた競争の考え方だ。

IO型とチェンバレン型は共通項が多い。しかしバーニー曰く、両者は「強調するポイントが異なる」

IO型は市場構造・競争構造によってライバルとの厳しい競争を避けるための1つの手段として差別化をする。

一方でチェンバレン型の競争では、そもそも全ての企業がある程度差別化されているのは前提であり、問題はその中でどのように「勝つ差別化」をするかが重要となるのだ。

従って後者の場合は「勝つ差別化」を行うために、RBVの主張である企業の持つ技術・知識・ブランド・人材のリソースが注目されるのだ。

チェンバレン型の競争例:日本の自動車・家電業界(参入障壁が低く「技術力」「人材」が競争要因となった。)

  • シュンペーター型の競争(schumpeterian competition)

ジョセフ・シュンペーターが由来となった「不確実性の高さ」に基づく「予測のしにくい」競争のこと。

シュンペーター型の競争では「試行錯誤して色々なアイディアを試し、環境の変化に柔軟に対応する」企業の力が必要となる。

そもそも経営者が悩む理由は、我々が完全に未来を予測できないからに他ならない。その不確実な未来を進むためにも道しるべとして戦略・計画・経営者のビジョンが必要となるのだ。

しかし「不確実性」にも程度があり、不確実性が低く長期的な予測を立てられることもある。IO型・チェンバレン型はこの低い不確実性の視点に基づいている。
例えばアメリカシリアル業界やRBVの記事で説明した複雑なアクティビティシステムを築いているサウスウエスト航空だ。

ただ技術革新のスピードが早く、顧客ニーズも急速に変化し、将来を予測することが極めて困難なIT業界のような状況もある。

2000年代はmixi、モバゲーが台頭したが、現在はFace book,instagram,Twitter,LineなどのSNSが中心だ。ただ5年後に現在中心となっているSNSが持続的な競争力を保っているかは全くわからない。

従ってこのようなシュンペーター型の環境で重要なのは、事前に用意周到に練られた戦略・計画よりも、冒頭に説明した「試行錯誤して色々なアイディアを試し、環境の変化に柔軟に対応する企業の力」なのだ。

競争環境を見極めよ

上述のように業界によって競争の型は異なる。自社が持続的な競争力を保ち続けるためには、自社の業界の競争の型を見極める必要があるのだ。

しかし全ての業界が3種類の競争の型にキレイに区分されるとは限らない。むしろ複数の競争の型を内包する場合が多い。

例えば日本の家電業界はチェンバレン型に近かったが、最も成長著しい新興市場はIO型となる。なぜなら新興市場の顧客が求めるのはハイエンド製品よりも普及品であり、それらの特性を如何に訴求するかの広告戦略が重要となるからだ。

逆にハイエンドな製品はむしろエッジの効いた顧客の嗜好を捉えるためにシュンペーター型の傾向が強まっている。

他にも例えばシュンペーター型で取り上げたIT業界でIO型の戦略を取ったらどうなるか考えてみよう。

2000年代後半から何年もかけて緻密な戦略を構築して、2010年頃に完璧と思われるガラケー向けのサービスの提供を開始したとする。
ただその時にはもう状況が一変し、世間はガラケーからスマホに移行し始め、ガラケー向け市場は縮小の一途を辿っているだけだ。

従ってシュンペーター型の環境ではIO型の戦略を真似すべきではなく、リーン・スタートアップの様な試行錯誤の手法が重視される。

世に出回っている有名起業家・経営者の成功物語を読むときは、競争の型を意識して読まなければ得られることは少ないだろう。

必要なのは鷹の目

説明してきた通り、SCP・RBVはどちらも重要であり、その比重は競争の型によって異なる。
また、業界によって競争の型は異なり、型自体も刻々と変化をしている。

では、ビジネスパーソンが自社の戦略を考える上ではどうすべきか。
それは自社を取り巻く環境がどの型に近づいているのかを比較検討・予測できる鷹の目を持つことだ。競争の型が異なれば求められる経営理論も戦略も異なるのだ。

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