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【経営理論】世界標準の経営理論-SCP理論【理解と実践】

世界標準の経営理論(著:入山 章栄 早稲田大学大学院・ビジネススクール教授)の理解を深めるために、内容のまとめをアウトプットしていきます。

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今日はSCP理論についてまとめます。

SCP理論とは

SCP理論(Structure-Conduct-Performance Theory)とはマイケル・ポーターの競争戦略の基盤にもなっている理論である。

私はSCP理論を「収益性を高め、持続させるための基礎知識」と解釈した。

SCP理論を学ぶと「なぜ差別化が重要なのか」「差別化するためにすべきこと」の思考の軸ができる。

収益性を高めるための条件

収益性を高めるためには、まず完全競争・完全独占を知る必要がある。

完全競争とは全ての企業が同じ条件(差別化されていない)で競争しており、利潤を生み出せない状況にあることだ。完全競争になる条件は主に以下の3つである。

条件1:市場・戦略グループに無数の企業がいて、どの企業も市場価格に影響を与えられない

条件2:その市場・戦略グループに新規参入・撤退する障壁がない。

条件3:企業の提供する製品・サービスが、同業他社と同質であり差別化がない。

他に条件4・5もあるがそれらについては後に説明する。

完全独占はこれらの条件と正反対と考えれば良く、完全独占に近ければ近いほど収益性が高くなる。

すなわち、収益性を高めるには完全競争の条件をひっくり返すことが最も重要だ。

全ての市場・戦略グループは完全競争・完全独占間のどこかに位置しているので、まずは自社の市場・戦略グループの位置を確認することが大切である。

市場を更に細分化して見る重要性

自社の属するグループを判断する際に重要なことは、”市場”という大まかな単位で見るのではなく、それを細分化して”戦略グループ”として見ることだ。

例えば弊社が属するIT市場は全体でみると”収益性が高い”と言えるかもしれないが、”受託開発グループ”や”プラットフォーマーグループ”などに分けた場合は全く異なってくる。

例えば前者の場合、完全競争に限りなく近い状況にある。1社の行動が他社に与える影響はほとんどなく、参入障壁も全くない。更に提供する商品・サービスもほぼ同じだからだ。こうなると入札で案件を獲得する場合、値下げで他社に対抗するしかなく、利潤は限りなく薄くなる。

ただ受託開発グループを更に細分化し、AIグループ・RPAグループ・ウェブサイト開発グループなどに分けると、またグループ毎に収益性は異なりを見せてくる。昨今流行しているAIグループは”人材獲得難”という参入障壁があるので、他のグループと比較して収益性は高くなっているだろう。

受託開発グループの反面、GAFAMに代表されるプラットフォーマーグループは完全独占に近い。現に独占化が世界中で問題視され、各国で訴訟を起されてしまっている。

このように1つの市場で見ても戦略グループによって収益性は異なるのである。

SCP理論を基にしたフレームワーク

SCP理論が秀逸な理由の一つとしてフレームワークへの落とし込みが多いという点が挙げられる。

ファイブ・フォース

その代表例がファイブ・フォースであり、その骨子は「産業の収益性は5つのフォースで規定される」というものだ。今回はアメリカ国内航空産業を例にとって説明する。

  • フォース1:潜在的な新規参入企業

参入障壁が低いと既存企業の収益性が高くても、それを狙って新たな企業が参入するので収益性が低下する。
アメリカ国内航空産業は1978年の規制緩和によって参入障壁が低下し、新規参入企業が相次いだため各企業の収益性が大幅に低下した。

  • フォース2:競合関係

競合度合いが熾烈なほど、収益性は低下する。例えばアメリカ国内航空産業は100以上の企業がひしめき合っており、提供サービスについても差別化が困難である。

  • フォース3:顧客の交渉力

顧客が自社製品から他社製品へ乗り換えやすいほど、顧客の交渉力が高くなり収益性が低下する。
アメリカでは航空会社に思い入れを持っている利用者が少ないため、エクスペディアなどの比較サイトを利用して少しでも安いフライトを利用している。

  • フォース4:売り手の交渉力

売り手を選べない立場にいるとき、売り手の交渉力が強くなり収益性が低下する。
航空産業への売り手はボーイング・エアバス・ボンバルディアなどの少数しかないため、売り手の交渉力はとても強い。

  • フォース5:代替品の存在

代替品が多ければ多いほど、当該産業の収益性は低下する。
アメリカでは無料の高速道路が充実しており、ガソリン価格も安価である。そのため自動車が飛行機の代替手段となっている。

ファイブ・フォースの正しい使い方

有名なファイブ・フォース分析だが、闇雲使ってもあまり意味がない。ポイントは2点あり、「将来の予測」「複数レベルの分析」だ。

今後の市場環境などを分析してフォースの強弱を予想することで、それの対応を行うことができる。
また市場全体・製品別・地域別・シェア別などの要素で細かくファイブ・フォース分析を行うことができれば、より深く自社の競争環境を理解することが可能となる。

戦略グループ

既に本記事でも度々使っているが、戦略グループの概念が分析には重要である。
戦略グループとは自社と他社を製品セグメントなどによってグループ分けすることだ。グループ化によって「自社のライバル」「グループごとの優劣」がわかる。

例えば自動車産業であれば「大衆車」「小型車」「ラグジュアリー車」などによって分けられるだろう。

ジェネリック戦略

ジェネリック戦略は自社が業界内でとっているポジショニングを検討するフレームワークである。大別すれば「コスト主導戦略」「差別化戦略」に分類できるが、あくまでも「差別化戦略」に追従すべきだ。
なぜなら「コスト主導戦略」は突き詰めても結局値下げにしかならず、収益性を高めることには繋がらないからである。収益性を高めるためには完全競争から少しでも離れるための差別化戦略が必要不可欠となる。

SCPフレームワークの限界

ここまでSCP理論・フレームワークについて述べてきたが、最後にそれらの限界について説明する。

SCPはあくまでも「安定」「予見性」「合理性」を前提としているため、それらを覆されると通用しにくくなる。

例えば昨今のビジネス環境は移り変わりが非常に激しいハイパーコンペティション状態にある。この環境であると市場の規定や参入障壁が目まぐるしく変わり、分析が無意味に帰す可能性がある。
また、経営者・経営幹部が合理性とはかけ離れて心理面が強く作用した意思決定を下す場合も分析は意味がなくなる。

だからと言ってSCPが無駄だという訳ではない。SCP理論の基礎-収益性を高めるためには完全競争からの分離-を意識しつつ、その限界も理解することで、この理論を自分の「思考の軸」とすることが可能となる。

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