こんにちは、今日は理論株価算出のついでに日産自動車ROIC分析もしてみます。
過去の記事はこちらから
株価下落理由
理論株価発表
株価算出方法の解説
ROIC
日産自動車の予想ROICは1.5%でした。
ROICが良いか判断するための1つの指標はWACCを超えているかどうかです。
WACCを超えていると債権者・投資家の期待を上回っていることになります。
WACCと比較
今回作成した日産自動車のWACCは1.72%でした。
日産のROICはWACCよりも低いので、あまりイケていない。。。
でも単体でもしかしたら業界全体が低いかもしれないので、業界平均と比較してみましょう。
2018年度業界平均ROIC
ガラス・土石製品 | 5.8% |
ゴム製品 | 8.8% |
サービス業 | 7.3% |
その他製品 | 5.3% |
その他金融業 | 2.4% |
パルプ・紙 | 2.2% |
不動産業 | 4.1% |
保険業 | 8.2% |
倉庫・運輸関連業 | 3.2% |
化学 | 8.3% |
医薬品 | 8.1% |
卸売業 | 3.2% |
小売業 | 6.5% |
建設業 | 8.7% |
情報・通信業 | 8.8% |
機械 | 7.7% |
水産・農林業 | 4.2% |
海運業 | 1.0% |
石油・石炭製品 | 7.3% |
空運業 | 8.5% |
精密機器 | 7.8% |
繊維製品 | 4.9% |
証券、商品先物取引業 | 2.4% |
輸送用機器 | 5.7% |
金属製品 | 5.4% |
鉄鋼 | 3.7% |
鉱業 | 1.3% |
銀行業 | 3.8% |
陸運業 | 5.6% |
電気・ガス業 | 3.2% |
電気機器 | 7.5% |
非鉄金属 | 6.0% |
食料品 | 7.2% |
*引用:https://kessanmaster.com/2018/11/20/roic/
上の表の場合、日産自動車は輸送用機器にあたると思います。
輸送用機器平均は5.7%なので日産は極めて低いです。。。
同業他社ROIC
では続いてライバルのROICと比較してみましょう。
もしかしたら自動車製造業のトップは運転資本がでかすぎてROICが低い傾向にあるかもしれません。ちょっと調べてみたらちょうど良い表を発見しました。
トヨタ | ホンダ | |
ROIC | 4.02% | 3.00% |
自動車製造業トップはどうやら業界平均と比較してROICが低い傾向にあるみたいですね。
それでも日産は群を抜いて低いですけど笑
ROICツリー分析
ってことでROICが極めて低い原因は何なのか調べてみました。
ROIC,ROA,ROEは計算式を分解することで、事業に支障をきたしている経営課題の発見をすることができます。
ってことで今回はFCF1の数字を使って予想ROICツリー分析をしてみました。
ROICツリー

こんなです。パッとみた感じ投下資本回転日数が非常に長いですね。
売上高営業利益率はまあこんなものかなって印象。
ちなみに今回は回転率(回)だとわかりにくいかなと思ったので、回転日数で統一しました。
日産の問題は投下資産回転日数にあると読んだので、そっちにフォーカスしてみてみましょう。
1年を超える投下資本回転日数

回転日数が365日を超えるということは、当該年度に投下した資本をその年度内で使いきれないということです。
つまり効率が非常に悪いということですね。
では具体的にどこが悪いのか調べてみましょう。投下資本は「運転資本」「事業用有形固定資産」「事業用無形固定資産」に分類することができます。
運転資本回転日数:234日
事業用有形固定資産回転日数:167日
事業用無形固定資産回転日数:4日
製造業のトップにいるので運転資本・有形固定資産が非常に大きいとわかりますね。
その反面無形固定資産は極めて少ない。
では、もっとも大きい運転資本をもう少し分解してみましょう。
突出して長い売上債権回転日数

ここまで分解すると1つの指標の日数が突出して長いことがわかりました。
問題は売上債権回転日数にありそうです。
でもなぜ売上債権回転日数が長いのでしょうか?
それは恐らくローンです。皆さん新車を購入する際はローンで購入することが多いですよね?
それが彼らからしたら売上債権にあたるので、この数字の回転日数が長くなります。
あとはもしかしたらディーラーなどとの取引も含まれているかもしれません。
トヨタ・ホンダなどの競合他社を分析していないのでわかりませんが、恐らく各社も長いと思います。
最後に
次回はROE,ROA,PBR,PERなどの一般的な指標を分析してみようと思います。