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【アシックス編】コーポレートファイナンス独学者が理論株価を算出してみた【株主資本コストの推計 WACC算出 編】

こんにちは、今回は株主資本コストの推計編です。

過去の記事はこちら
P/L,B/S
FCF
予想ROIC,ROE,ROA

株主資本コストの推計

なぜ株主資本コストを推計する必要があるのか

ターミナルバリュー(TV)の求めるのに必要なWACCを算出するためです。

理論株価を算出するまでの残りの道のりは以下の通りです。

  1. WACC算出
  2. TV算定
  3. 事業価値算定
  4. 理論株価算出

今回株主資本コストを推計するのは「①WACC算出」をするために必要だからです。

WACCはどうやって求められるの?

WACC=株主資本コスト×{E/(D+E)}+有利子負債資本コスト×(1-t)×{D/(D+E)}
D=有利子負債総額
E=時価総額
t=実効税率
この数式でWACCを求めることができます。

これだけではチンプンカンプンだと思うので1つずつ解説していきます。

そもそもWACCって??

WACC(Weighted Average Cost of Capital) ワックと読みます。

WACCとは、資本コストの代表的な計算方法で、借入にかかるコストと株式調達にかかるコストを加重平均したもの。Weighted Average Cost of Capitalの略で、加重平均資本コストともいう。実際に資金を1円調達するのにいくらのコストがかかっているかを示すのが加重平均資本コスト(WACC)。

https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-12525.html

企業は株式・借入の2つの方法で資金調達をしますが、その際に株主・債権者というリターンを期待する人が生まれます。

投資家が特定企業の株を購入する場合は、株価の上昇・配当金などのリターンを期待しています。

債権者は毎月の利息によるリターンを期待していますね。

企業にとってはそれらのリターンが資金調達の際に発生するコストになるわけです。

しかし株主・債権者で企業に期待するリターンは異なるので、そのコストをわかりやすくするために彼らの期待を加重平均で均したのがWACCです。

例えば企業が1億円調達してWACCが3%だった場合、
当該企業は1億円集めるのに300万円かかったことになります。

従って企業はWACC以上の利回りを生み出せていれば、株主・債権者両者の期待を満たせていることになります。

そのためWACCは理論株価算出以外の面においても企業にとって重要な指標になるのです。

株主資本コストの推計に重きをおいている理由

WACC=株主資本コスト×{E/(D+E)}+有利子負債資本コスト×(1-t)×{D/(D+E)}

理由は単純で、上記の計算式において株主資本コストだけ算出が難しいからです。

有利子負債資本コストは日本証券業協会が発行している格付マトリクス表から対象企業の金利を用いれば良いだけです。
(参照:file:///Users/naoki.k/Downloads/RA200106.pdf)

実効税率はググればすぐ出てきます。
(参照:https://ventureinq.jp/effectivetaxrate/)

有利子負債総額は有報を確認すれば良いだけ、時価総額もググればすぐ出てきます。

あとは株主資本コストだけあればWACCを求められるのですが、それが少し難しいのでそこだけ抽出しています。

株主資本コストの求め方

〈計算式〉
株主資本コスト=リスクフリーレート+β×マーケットリスクプレミアム

これは株主資本コストを求める際に使われる最も一般的な式です。
Capital Asset Pricing Modelの頭文字をとってCAPM(キャップエム)と呼ばれています。

-リスクフリーレート
国債から得られる利息や配当の利回りのことです。
国債からのリターンは、リスクがないとみなせるためこう呼ばれます。基本的に10年国債の金利を用いられます。

国債利回りは日経新聞にも載っているので簡単に調べることができます。

今回アシックス理論株価を求めた時は-0.025%だったので、これを採用します。

-マーケットリスクプレミアム
投資家が「株式市場から国債と比べてどれくらい高いリターンを期待しているか」を示した数値です。
これは株式市場全体からのリターンを意味しているので、全上場企業が対象です。

日本の株式市場に関する過去30-40年のデータだと、概ね5-6%程度に収まっているようです。

正確なマーケットリスクプレミアムは有料だと手に入るようですが、独学のレベルでそんなお金はかけられません。
そのため今回は参考書でも用いられていた5%と設定しました。


「対象企業固有のリスク=値動きの大きさ」を表しています。
βが1より大きければ株式市場全体の値動きと比較して値動きが大きく、
1より小さければ値動きは小さいことを意味しています。

この値は勘弁的には日経QuickかBloombergで情報を得られるので、そこに掲載されていた0.77の数値を使います。

尚、表にあるReleveredβ,Unreveredβは参考書に記載されてた算出式を、ただ使ってみたかっただけなので気にしないでください。笑

〈株主資本コスト算出〉
株主資本コスト=-0.025%+0.77×5%=3.825%

これで株主資本コストを算出できました。

残りは有利子負債資本コストを算出して、資本構成の検討をするだけです。

有利子負債資本コスト

もしも対象企業か同じ格付けの同業他社が社債を発行していたら、その発行金利を用いるのが最も妥当です。
しかしなかなかその様な事はないみたいです。

そのため実務上は格付けごとに観測される社債の平均利回りを用いるそうです。

今回はたまたまアシックスが社債を発行していたので、その利回り0.200%を用います。

http://c-eye.co.jp/dt/review-dt/37310

尚、対象企業の格付はググればすぐに出てきますし、格付マトリクス表は以下のサイトからダウンロードできます。

http://market.jsda.or.jp/html/saiken/kehai/downloadResult.php

資本構成の検討

資本構成とはデットとエクイティの構成割合のことです。

本来は対象企業が今後目標とする資本構成を推計し、それを元にWACCを算出します。
しかし対象企業の目標資本構成なんてわからないので、類似企業数社の資本構成を平均した値を目標の資本構成だと仮定します。

資本構成の検討を行う際、デットは帳簿価格、エクイティは時価総額を用います。

従ってデットは有価証券報告書のB/Sから算出、エクイティは「◯◯ 時価総額」とググります。

今回は類似企業としてミズノ・デサント・ゴールドウィン・スノーピーク・ヨネックスを用いました。

その結果、資本構成はデット23.36%エクイティ76.64%となりました。

WACC算出

これでWACCを算出するために必要な数字が全部揃いました!

有利子負債資本コスト:0.200%
株主資本コスト:3.825%
実効税率:30.62%
有利子負債構成比:23.36%
株主資本構成比:76.64%

〈WACC算出〉
WACC=3.825%×76.64%+0.200%×(1-30.62%)×23.36%
    =2.96%

最後に

WACCの算出は一見大変面倒ですが、やってみるとそんな事はありませんでした。

やはり予想P/L、B/Sを作成するのに比べたら全く大したことありませんね。

さあ理論株価算出まで次回のターミナルバリューの算定を残すのみです!

お楽しみに!

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